2026.11.03
マーケット定点観測|2026年11月3日 日銀が物価2%到達を認定、長期金利は8カ月ぶり低下
日本銀行は10月30日の金融政策決定会合で政策金利を1.25%程度に据え置く一方、基調的な物価上昇率が2%に到達したとの判断を示しました。短期金利は上がる方向にありながら、長期金利は10月に入って低下しています。この「ねじれ」は、物件を買う側と建てる側で効き方が変わります。
今週の数字
| 指標 | 直近 | 前の水準・変化 |
|---|---|---|
| 長期金利(新発10年国債) | 2.770%(10月30日終値) | 前日比0.065ポイント低下。月間では8カ月ぶりの低下 |
| 日銀 政策金利 | 1.25%程度(10月30日会合) | 据え置き。基調的な物価上昇率が2%に到達したと判断 |
| 東証REIT指数 | 1,651.70(11月2日終値) | 10月30日の終値は1,648.88 |
| ドル円 | 157円台半ば(11月2日) | 先週の高値は158.35円、日銀会合後に一時156.99円 |
| 【フラット35】 | 3.81%(11月適用分) | 前月比で低下(10月は3.83%) |
何が起きたか
日銀は政策金利を据え置きましたが、展望レポートで物価見通しを上方修正し、基調的な物価上昇率が2%に到達したとの認定を行いました。植田総裁は次回以降の利上げを排除しない姿勢を示しています。大和総研は12月会合で1.5%、2027年3月に1.75%への利上げを予想しており、年内の追加利上げを見込む向きが優勢です。
一方で長期金利は逆方向に動きました。10月上旬には3.11%と2024年3月以降の最高水準をつけましたが、月末にかけて低下し、30日の終値は2.770%となりました。米国の長期金利の低下が波及したことに加え、市場の関心が物価から景気の下振れに移りつつあることが背景とされています。
長期金利に連動する【フラット35】の11月適用金利は3.81%と、過去最高圏ながら前月からわずかに低下しました。東証REIT指数は1,650前後で推移しています。
開発会社としての見方
短期金利が上がり、長期金利が下がる局面は、不動産に対して一様には効きません。立場を分けて考える必要があります。
- 買う側 住宅ローンの変動金利は短期の政策金利に連動します。12月に追加利上げがあれば、変動を選ぶ層の借入可能額は圧縮されます。固定を選ぶ層にとっては、長期金利が落ち着いている今の水準はむしろ条件の良い局面です。
- 建てる側 開発資金の借入は短期金利連動が中心です。利上げが続けば、着工から竣工・売却までの期間が長い案件ほど、金利負担の読みがぶれます。
- 売る側 売却時の利回り(キャップレート)は長期金利の影響を強く受けます。長期金利が低下している局面は、出口の価格形成にとっては追い風です。
まとめると、調達コストは上がる方向にあるものの、出口は悪くないという組み合わせです。この局面で効いてくるのは工期の短さと規模の小ささで、資金を寝かせる期間が短いほど、金利の読み違いが利益を削りません。当社が都市部の狭小地・不整形地で5階建前後の一棟を手がけているのは、この回転の速さを取るためです。
12月の日銀会合が次の分岐点になります。変動金利でご検討中の方は、利上げが実際に行われた場合の返済額を一度試算しておくことをお勧めします。
ご利用にあたって
本記事は市場動向に関する情報提供であり、特定の不動産や金融商品の取得・処分、その他の投資判断を勧誘するものではありません。記載した数値は各公表資料および報道に基づくもので、正確性を保証するものではありません。また、将来の金利水準や価格を示唆するものでもありません。具体的なご判断にあたっては、金融機関および税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。
出典 日本銀行「金融政策決定会合」(2026年10月30日)/大和総研レポート(2026年10月30日)/共同通信(2026年11月2日)/日本経済新聞/OANDA証券/松井証券